【税理士が解説】税抜経理と税込経理の違い|固定資産の判定基準も紹介

【税理士が解説】税抜経理と税込経理の違い|固定資産の判定基準も紹介

皆さんこんにちは。福岡市の河上康洋税理士事務所です。

消費税の経理方式について、次のような疑問をお持ちの経営者・経理担当者の方は多いのではないでしょうか?

  • 税込経理と税抜経理、どちらを選べばいいの?
  • 経理方式によって何が変わるの?

結論からいうと、どちらの経理方式を選んでも消費税の納税額は変わりません。

しかし、経理方式の選択は

  • 固定資産の判定基準
  • 日々の経理処理
  • 利益管理

に影響するため、自社に合った方式を選ぶことが重要です。

今回の記事では以下のことを解説いたします。

  • 税込経理と税抜経理の基本的な違い
  • 原則課税・簡易課税・免税事業者別の選び方
  • 固定資産の10万円判定基準への影響
  • 自社に適した経理方式の判断基準

それでは、税込経理と税抜経理の違いについて詳しく見ていきましょう。

税込経理・税抜経理の概要(基本的な考え方)

税込経理とは

税込経理とは売上や仕入、経費、固定資産の取得価額などを消費税を含めた金額で処理する方法です。

帳簿上では消費税を区分せず、支払った消費税・預かった消費税もすべて損益計算に含めます。

決算時に納付する消費税は「租税公課」として費用処理します。

税抜経理とは

税抜経理とは、売上や仕入等を消費税抜きの本体価格で処理する方法です。

消費税部分は「仮受消費税」「仮払消費税」として一時的に貸借対照表に計上し、決算時に相殺して未払消費税(または未収消費税)を確定させます。

損益計算書には消費税が原則として影響しない点が特徴です。

国税庁HPに、「小売店が商品(標準税率10パーセントが適用されるもの)を7,000円(税抜き)で掛仕入し、10,000円(税抜き)で現金で販売した場合」が例示されています。

No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6375.htm

税抜経理方式

(1) 仕入時

(借方)仕入7,000円(貸方)買掛金7,700円
仮払消費税等700円

(2) 売上時

(借方)現金11,000円(貸方)売上10,000円
仮受消費税等1,000円

税込経理方式

(1) 仕入時

(借方)仕入7,700円(貸方)買掛金7,700円

(2) 売上時

(借方)現金11,000円(貸方)売上11,000円

ちなみに、どちらで経理処理をしても消費税の納税額には影響しません。

両者の違いは、消費税を損益に含めるか否か?および帳簿の管理方法の複雑さにあります。

税込経理はシンプルですが、税抜経理は消費税の実態を正確に把握できます。

消費税の申告方式別にみた選択のポイント

(1)原則課税事業者

原則課税とは、売上にかかる消費税額から、仕入や経費にかかる消費税額を差し引いて納税額を計算する方法です。

原則課税事業者は、税抜経理を採用するケースが圧倒的に多いです。

理由は以下の通りです。

  • 仮受・仮払消費税を正確に把握する必要がある
  • 消費税が損益に影響しないため、利益管理が明確
  • 税務調査や申告時の整合性が取りやすい

特に売上や仕入が多い中小企業以上では、税抜経理が実務上ほぼ標準といえます。

(2)簡易課税事業者

簡易課税は、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を用いて消費税額を計算する制度です。

簡易課税事業者は、税込経理・税抜経理のどちらも選択可能です。

実務上は以下の傾向があります。

  • 小規模事業者・個人事業主:税込経理
  • ある程度規模がある法人:税抜経理

簡易課税では仮払消費税を厳密に管理する必要がないため、税込経理でも大きな問題はありません。

ただし、利益のブレを避けたい場合や、将来的に原則課税へ移行する可能性がある場合は、税抜経理が選ばれます。

(3)免税事業者

免税事業者は、消費税の申告・納付義務がありません。

そのため、原則として税込経理を採用します。

売上で預かった消費税相当額も含めて収益となり、支払った消費税も含めて費用となります。

税抜経理を形式的に行うことも可能ですが、実務的・税務的なメリットはほぼありません。

国税庁HPでは「消費税の納税義務が免除されている免税事業者は、その行う取引について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、税込経理方式を適用して所得税または法人税の所得金額を計算することになります。」とされています。

No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理|国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6375.htm

選択できないわけではありませんし、当事務所の免税事業者の顧問先でも税抜経理を行っていましたが、こちらは全国チェーンのフランチャイズ加盟店であったため、本部の要請によるものでした。

固定資産の10万円判定基準との関係

固定資産かどうかを判断する際の「10万円未満」基準は、税込経理か税抜経理かによって判断額が異なります。

税込経理の場合

取得価額を消費税込みで判定します。

例:

  • 取得価額 99,000円(税込) → 消耗品費として一括経費
  • 取得価額 110,000円(税込) → 固定資産として計上

税抜経理の場合

取得価額を消費税抜きで判定します。

例(消費税10%):

  • 本体価格 95,000円(税抜)+消費税 9,500円

→ 税抜95,000円のため消耗品費処理が可能

この違いにより、同じ支払額でも処理結果が変わる点は重要です。

特に原則課税・税抜経理の事業者では、税抜金額で10万円未満であれば即時費用化できるため、節税や事務効率に影響します。

なお、少額減価償却資産(30万円未満、令和8年度より40万円未満)や一括償却資産(20万円未満)の特例も、原則として税抜金額基準で判定されます。

交際費の1万円基準も同様です。

まとめ

  • 税込経理:処理が簡単、免税事業者や小規模事業者向き
  • 税抜経理:消費税管理が明確、原則課税事業者向き
  • 課税方式や事業規模によって適切な方法は異なる
  • 固定資産の10万円判定は、採用する経理方式により基準額が変わる
本則課税簡易課税免税
税抜経理(推奨)×
税込経理に引き直して所得税や法人税の所得金額を計算
税込経理
消費税の納税額を予測しづらい

経理方式の選択は、消費税の納税額だけでなく、利益管理や将来の制度変更にも影響するため、事業の成長段階に応じた検討が重要です。

コラム「TKC会計システムでよく使う課税区分」でも触れましたが、正確な経理処理には会計事務所のサポートが必要になってきます。

TKC会計システムの自動判定やチェック機能を上手に活用し、日常の仕訳から正しい区分を選択することが、スムーズな決算・申告につながるでしょう。

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代表 河上康洋

プロフィール

河上康洋(税理士・中小企業診断士)
河上康洋(税理士・中小企業診断士)
福岡市の税理士。中小企業のためのコンサル型税理士として税務・会計面はもちろんのこと、経営者のビジョンの具体化、管理会計をベースにしたお金の流れの見える化をアドバイスしています。