【税理士がわかりやすく解説】キャッシュフロー計算書の見方|「黒字なのにお金がない!」を防ぐ3つのポイント

皆さんこんにちは。福岡の河上康洋税理士事務所です。

経営者の方で

「今月も利益は出ているはずなのに、なぜか手元にお金が残らない…」

そんな経験をしたことがある方はいませんか?

今日はこの利益が出ているはずなのに手元にお金がない理由を解説したいと思います。

実は多くの経営者がこの「お金の謎」に悩まされています。

売上も順調、決算書も黒字。
なのに(なぜかいつも)資金繰りが苦しい…。

この状態を放置すると、最悪の場合「黒字倒産」につながることもあります。

この記事では、税理士の視点から「キャッシュフロー計算書」の見方をやさしく解説します。

難しい会計用語は使わず、明日からすぐに使える実践的な内容をお届けしますのでぜひチェックしてみてください。

目次

なぜキャッシュフロー計算書が必要なのか?

(キャッシュフロー)決算書と聞くと、多くの経営者はまず「損益計算書」や「貸借対照表」を思い浮かべるでしょう。

確かに、利益や資産・負債の状況は重要です。

しかし、黒字倒産という言葉があるように、「利益」と「現金の動き」は必ずしも一致しません。

企業が日々の活動を継続していくという観点において必要なのは利益よりも現金です。

どれだけ利益が出ていても、現金が不足すれば支払いや仕入れが滞り、経営は立ち行かなくなります。

そこで活用すべきが「キャッシュフロー計算書」です。

これは企業の現金の流れを営業・投資・財務の3つの区分に分けて示したもので、会社のお金が「どこから入り、どこへ出ていったのか」を明確にしてくれます。

「黒字なのにお金がない」の正体と黒字倒産について

決算書を見ると、確かに利益は出ている。でも通帳を見ると残高が少ない…

経営者の方はピンと来ると思うのですが、この理由をひとつずつ解説してみたいと思います。

黒字倒産の理由その1.売上と入金のタイミングがズレる

例えば、100万円の商品を売った場合を例に考えてみます。

黒字なのに「お金がない」状態

  • 損益計算書:今月100万円の売上!!
  • 通帳:まだ入金されていない(翌々月末に入金予定)

これは非常に分かりやすい例ですが、会計上は「売上」として計上されますが実際のお金は【まだ】入っていません。

さて、この状態で支払いが会社のキャッシュを上回るとどうなるでしょうか?

「利益は出ているのに支払いができない…」会社に何が起こるのか?

大きな売上はあったのに通帳残高が足りない…。そして支払期日は明日です。

まだピンと来てない方にご説明すると、このとき経営者は「究極の選択」を迫られます。

支払いの優先順位をつける地獄

手元の現金 :50万円
今月の支払い:100万円

当然全部は払えませんので、どれかを優先する必要に迫られます。

支払いが必要なものを見ていきましょう。
(※優先順位を示唆しているものではありません)

①従業員の給料:30万円

【最優先】払わないと従業員が生活できません。例えば自分の給料が1ヶ月0円だった場合どうなるでしょうか…?

②家賃・光熱費:10万円

払わないと電気が止まったり事務所を追い出される事態に発展しますね。

③仕入先への支払い:40万円

払わないと次回の仕入を断られる可能性が高く、仕入先というのはこのような事態には敏感です。

④税金・社会保険料:15万円

遅れると延滞税が発生しますが、優先度を決めなければならないとなると後回してしまう人が多いかもしれません。

⑤銀行への返済:5万円

こちらも遅れることで大事な「信用」を失いますが、選択を迫られると後回しにしてしまう人が多そうです。

結果

  • ①②③だけ支払い(合計80万円)
  • 30万円不足。カードのキャッシングで何とか凌ごう…

このようなことが起きてしまいます。

さらに翌月も同じような状況になったらどうなるでしょうか?

支払いを遅らせるとじわじわと【信用】が失われていきます。

仕入先とのやりとり

山田さん、今月の支払いまだですか?

すみません、来週には必ず…

今後は現金払いでお願いします。

銀行とのやりとり

返済が遅れていますが、どうされましたか?

すみません、来月の売掛金が入れば…

このようなことがあると追加融資は難しいですね。

このようにして仕入れの条件が悪くなったり断られたりすることで現金が必要になっていきますし、融資を受けようにも銀行からの信用も失った状況で融資は難しいでしょう。

これが「必要なのは利益よりも現金」の理由です。

  • 給料を払うには現金が必要
  • 仕入代金を払うには現金が必要
  • 家賃や光熱費を払うには現金が必要

どれだけ帳簿上の利益があっても、現金がなければ支払いができず資金ショートし、会社は倒産してしまいます。

そこで登場するのが「キャッシュフロー計算書」です。

キャッシュフロー計算書で分かること

キャッシュフロー計算書とは、簡単に言えば「会社のお金の出入りを記録した表」です。

他の決算書との違い

  • 損益計算書:儲かったか?(利益を見る)
  • 貸借対照表:財産はどれくらいか?(資産・負債を見る)
  • キャッシュフロー計算書:お金の出入りはどうだったか?(現金の動きを見る)

この表を見ると、以下のことが一目で分かります。

キャッシュフロー計算書で分かること

  • 本業でどれだけお金を稼いだか?
  • 何にお金を使ったか(投資、返済など)?
  • お金をどうやって調達したか(借入、増資など)?
  • 結果として現金がいくら増えた(減った)か?

例えるなら、会社版家計簿のようなものです。

上場企業は作成義務がありますが、「うちは中小企業だから関係ない」と思う方もいるかもしれません。

しかし金融機関は融資審査の際にキャッシュフロー計算書を重視します。

融資を受ける予定がない場合もお金の出入りをしっかり把握するためにぜひ作成することをおすすめします。

3つの区分で見るキャッシュフローの仕組み

キャッシュフロー計算書は大きく3つの区分で構成されます。

①営業活動によるキャッシュフロー

本業によって現金がどの程度生み出されているかを示す区分です。

売上の入金、仕入や人件費の支出など、日常の営業活動が中心となります。

POINT

ここが安定してプラスであることは、企業の基礎体力がしっかりしている証拠です。

②投資活動によるキャッシュフロー

設備投資や有価証券の購入・売却など、将来の成長に向けた支出・収入を示します。

新たな機械の購入によって一時的にマイナスになることは必ずしも悪いことではなく、「未来への投資」として前向きに評価される場合もあります。

POINT

投資CFは「マイナス」が悪いわけではありません。むしろ、成長企業ほど投資にお金を使うので、マイナスになります。

③財務活動によるキャッシュフロー

借入金の増減や配当金の支払いなど、資金調達や返済に関する動きを表します。

金融機関との付き合い方や株主への還元姿勢が見える区分です。

経営の安定化を図る上で、資金繰りとのバランスが求められます。

POINT

財務CFがプラスかマイナスかは、状況によって判断が変わります。

キャッシュフローのプラス・マイナスで読み解く経営状態

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

3つのキャッシュフローの「プラス・マイナス」の組み合わせを確認することで、会社の経営状態をより立体的に把握できます。

【優良タイプ】営業+ / 投資- / 財務

理想的な形です。本業で得た資金を投資に回し、借入金も返済している堅実経営タイプ。

この状態を維持しましょう。さらなる成長投資も検討できます。

【要注意タイプ】営業+ / 投資 / 財務

資産の売却などで一時的な資金流入があるケース。再投資の見直しが必要です。

一時的な資金流入に頼っています。今後の再投資計画を見直しましょう。

【黄色信号タイプ】営業 / 投資 / 財務

本業が赤字で、資産売却や借入で資金を補っている状態。早急な改善が求められます。

資金を手元に確保している状態。次の成長投資のタイミングを見極めましょう。

【縮小タイプ】営業 / 投資 / 財務

将来への投資を続けながら借入で資金を確保している成長期の企業に見られますが、営業キャッシュフローの改善が課題です。

成長期のスタートアップに見られるパターン。ただし、営業CFの早期改善が必須です。

まとめ:お金の流れを把握すれば、経営は変わる

キャッシュフロー計算書は決して難しいものではありません。

要は「お金がどこから入ってきて、どこへ出ていったか?」を整理した表です。

損益や資産の増減だけでなく、現金がどのように動いているかを理解することで、経営の安定性と将来の方向性をより確実に掴むことができます。

ぜひ、決算書を読む際には「キャッシュフローの視点」も取り入れてみてください。

この後の行動

  • 税理士にキャッシュフロー計算書の作成を依頼する
  • 3つのキャッシュフローを確認する
  • 自社がどのパターンか把握する
  • 問題があれば、改善策を相談する

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河上康洋税理士事務所
代表 河上康洋

プロフィール

河上康洋(税理士・中小企業診断士)
河上康洋(税理士・中小企業診断士)
福岡市の税理士。中小企業のためのコンサル型税理士として税務・会計面はもちろんのこと、経営者のビジョンの具体化、管理会計をベースにしたお金の流れの見える化をアドバイスしています。