【税理士が分かりやすく解説】企業の「稼ぐ力」を見える化する‐収益性分析のススメ(その2)

皆さんこんにちは。福岡の税理士 河上康洋です。

このコラムでは企業経営者様に向けて実務で役立つ知識をお伝えしています。

前回こちらの記事で収益性分析に関することをご紹介しました。

>ここに前回の記事URL

今回はROE(自己資本利益率)についてや収益性分析で見えてくる課題と改善策についてご紹介します。

ROE(自己資本利益率)とは?

ROEは「Return on Equity」の略で、株主(出資者)が出したお金を使って、企業がどれだけ効率よく利益を出しているかを示す指標です。

簡単に言えば、「預けたお金がどれくらい増えたか?」を見るためのものです。

このため、株主や投資家にとってとても重要な数字とされており、企業の「資本の使い方のうまさ(=資本効率)」を評価する際によく使われます。

ROE=当期純利益/自己資本×100

例:自己資本(株主が出したお金など)が1,000万円、当期純利益が100万円の場合

ROE = 10%

つまり、「株主のお金1,000万円を使って、1年で10%の利益(100万円)を生み出した」ということになります。

ROEが高いほど、「資本を上手に活用して利益を出している」と評価されます。

また投資家はこの数字を見て、「この会社に出資する価値があるか」を判断します。

【税理士が分かりやすく解説】「決算書に表示されない「総資本」「自己資本」とは?」 | 河上康洋税理士事務所

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収益性分析で見えてくる課題と改善策

「売上はしっかりあるのに、なぜか利益が残らない」

これは多くの中小企業で見られる悩みです。

このような状況の背景には、コスト構造のゆがみや経営管理の問題が隠れていることが少なくありません。

たとえば、以下のようなことが原因として考えられます。

  • 原材料費や外注費が上がっていて、利益を圧迫している
  • 人件費が必要以上にかかっている
  • 売上に見合わない高額な設備投資をしている
  • 安い価格で受注しすぎて、採算が合っていない(利益が出ない)

こうした課題を見つけ出すために役立つのが、収益性分析です。

利益率などの指標を使って数字をチェックすることで、「どの商品が儲かっていないのか」「どの取引先との取引が赤字なのか」といった問題点が具体的に見えてきます。

「売っても儲からない」状態から「売上が利益に結びつく体質」へ

こうした問題点を改善するにはどうしたら良いのでしょうか?

例えば

  • 不採算の商品や部門を洗い出す
  • 原価(コスト)を細かく見直す
  • 利益率の高いサービスや取引に経営資源を集中する
  • 安売りや過剰サービスを見直し、価格戦略を再考する

こうした対応を行うことで、「売っても儲からない」状態から「売上が利益に結びつく体質」への改善が可能になります。

税理士がサポートできること

私たちは、適正申告はもちろんのこと、会社の成長ステージごとに最適な支援を提供します。

管理会計により業績を見える化し、黒字化による内部留保充実を通じた自己資本比率の向上をサポートします。

過去・計画・同業他社と実績を比較検証できる

月次決算により、翌月には計画進捗を振り返る体制を構築します。
限界利益(粗利)を高め、適正な労働分配率を確保し、自己資本比率を高める意識づけを行います。

月次決算の定着化

変動損益計算書で業績チェック

TKC経営指標(BAST)による同業他社比較

まとめ

収益性分析とは、企業が「どれだけ効率よく利益を出せているか」を明らかにする大切な方法です。

単に「利益の金額」だけを見るのではなく、「どの売上・どの資本が、どれくらい利益を生み出しているのか?」という視点を持つことが、会社を持続的に成長させる第一歩になります。

数字で経営の課題を“見える化”することで、

  • どこに無駄があるか
  • 何を変えるべきか

といった改善のヒントが見えてきます。

つまり、収益性分析は「数字を確認する作業」ではなく、「会社をもっと強くするための作戦を立てるための道しるべ」なのです。

感覚や勘だけに頼らず、数字にもとづいた判断で、より確かな経営を目指すためにも、収益性分析をぜひ積極的に活用していきましょう。

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当事務所では「中小企業診断士」の国家資格を持つ経営コンサルタントが会社の強みを分析し、数値化・言語化を行います。

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河上康洋税理士事務所
代表 河上康洋

プロフィール

河上康洋
河上康洋
福岡の中小企業のためのコンサル型税理士。
税務・会計面はもちろんのこと、税理士と中小企業診断士のダブルライセンスを活かして経営者のビジョンの具体化、管理会計をベースにしたお金の流れの見える化をアドバイスしています。