200%定率法については、期間をまたぐ初年度は、従前の「250%」でも計算できることをご紹介しました。
もうひとつ、特例計算があります。
【経過措置 2 過年度の250%分も「200%」にあわせてOK】
※ 平成23年12月改正 法人の減価償却制度の改正に関するQ&A を参照。
改正事業年度又は平成24年4月1日以後最初に開始する事業年度の
いずれかの事業年度以後の各事業年度における償却限度額の計算について、
その減価償却資産の全てを平成24年4月1日以後に取得したものとみなして、
200%定率法により償却することができることとされました。
今回の税制改正の趣旨は「課税ベースの拡大」です。
税額 = 所得 × 税率
と表されますので、課税の均衡を維持しつつ、額面上の税率(法定実効税率)を引き下げるのと相対して、
その税額計算のもととなる課税所得の範囲が広がります。
(貸倒引当金が原則廃止になる措置も、同じようなものだとお考えください。)
したがって今回改正では、この4月から250%のものも200%に計算を引き直す必要があるのですが、
期の途中から計算方法を変えるのは大変ですので、を平成24年4月1日以後に取得したものとみなして
計算方法をすべての資産でそろえることができるのです。
ただし、留意点が2つ。
1)減価償却資産ごとに200%と250%を選択することはできません。これまで250%定率法で計算していた全資産が対象になります。
2)、平成24年4月1日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに、別途の届出が必要になります。
「減価償却資産の償却の方法等に関する経過措置の適用を受ける旨の届出書」といいます。
はじめまして、わかりやすい説明で勉強させて頂いております。
質問です。
なぜ届け出書を出してまで、今までの250%を200%にする必要があるのでしょうか?
弊社はおかげさまで黒字続きですので、この特例が不利にしか思えませんf^_^;)
この特例を選ぶ会社はあると思われますか?特になる会社とはどういう場合なのか教えて頂けると幸いです。
河上康洋税理士事務所と申します。
この度は、弊社ホームページへのご投稿ありがとうございます。
ご質問は「届出による200%定率法のメリット」に関するものですが、
国税庁などではこの点が明示されていませんが、関連書籍によれば
「250%定率法適用既存資産について税務署へ届け出れば、その後において
200%定率法を適用しても、”当初の耐用年数で償却が終了する措置”」
(税務通信平成24年3月5日号)といった説明となっております。
つまり単純に200%定率法に切り替えると償却のペースが遅くなるので
耐用年数を当初のものに合わせることが上記経過措置の利点のようです。
ただし減価償却は長い目で見ると費用化できる額は限られますので、
ご指摘のとおり、メリットを感じる企業さまは多くないかと思われます。
詳細は、御社顧問税理士などの専門家にお問い合わせください。
今後とも、河上康洋税理士事務所をよろしくお願い申し上げます。