【本稿の内容は「平成23年度税制改正大綱」に基づき記載しています。】
【※後日補足】平成23年6月現在の法案成立状況は、こちら
前回に引き続き、平成23年度税制大綱の中から、
注目度は低いものの実務には影響が大きいと思われる内容として
今回は消費税の改正案についてご紹介します。
【消費税の免税事業者判定は、前上半期へ】
適用対象 個人事業主、資本金1,000万円未満の法人
適用時期 平成24年10月1日以後に開始する課税期間
【※後日補足】 平成25年1月1日以後に修正。平成23年6月現在の法案成立状況は、こちら
(よって基準期間は平成23年10月1日以後の可能性)
原文参照
イ 個人事業者のその年又は法人のその事業年度につき現行制度において事業者免税点制度の適用を受ける事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1千万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用しないこととします。
(イ) 個人事業者のその年の前年1月1日から6月30 日までの間の課税売上高
(ロ) 法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く。)開始の日から6月間の課税売上高
(ハ) 法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年内に開始した前々事業年度があるときは、当該前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(当該前々事業年度が5月以下の場合には、当該前々事業年度の課税売上高)
ロ イの適用に当たっては、事業者は、イの課税売上高の金額に代えて所得税法に規定する給与等の支払額の金額を用いることができるものとします。
基準期間のイメージ
「小規模事業者(※)の消費税は、基本的に2期(≒2年)免税」という現行制度ですが、
その扱いが変わります。
イメージにあるとおり、例えば法人設立第2期(12カ月決算)であっても
第1期が7カ月超あれば、事業開始から6か月目までが基準期間となり、
実質的に消費税の納税義務が1期前倒しとなる勘定になります。
【課税売上高5億円超で、95%基準がなくなる】
適用対象 課税売上高5億円超の事業者
適用時期 平成24年4月1日以後に開始する課税期間
原文参照
課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できる消費税の制度については、その課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)以下の事業者に限り適用することとします。
ひょっとすると、実務的にはこちらが手間かもしれません。
課税売上割合が95%以上の場合(いわゆる「95%基準」)、
ほとんど課税売上の事業者=ほとんど課税売上に対応した課税仕入れ
という考えのもと、税額の全額が控除できるしくみです。
これを抜本的に見直し、課税売上高が5億円未満(課税期間1年未満の場合は月割)の
事業者に限って適用するというものです。
単に申告計算の手数が増えるにとどまらず、
仕入税額控除がそもそも少なくなるわけですから、影響は避けられません。
ということで、適用も少し先になる模様です。
【免責事項】
平成23年度税制改正大綱に基づき記載しています。実際の法令上の取り扱い等、今後の動向にご留意ください。