上場企業では「有価証券報告書」といった財務情報の提出が 義務付けられていますが、
作成書類はこれだけにとどまりません。
決算書の信頼性のためにどのような企業統制をしているかを示す「内部統制報告」 、
環境問題や社会問題にどのような取組をしているかを示す「CSR報告」 、
株主総会などに添付する「事業報告」、
これ以外にも、企業独自で「事業案内」や「パンフレット」なども存在します。
目的に応じて多様な報告書を毎年のように作成するわけですが、
ここに、現在の報告書体系(開示制度)の大きな欠点が垣間見えます。
・それぞれの報告書のつながりが分かりにくい
・過去の財務情報は分析できるが、将来性が伝わりにくい
・財務情報に傾斜しており、本来の企業の姿が見えにくい
・経理社員の負担が大きい
これからは、財務情報と非財務情報(ガバナンスやCSR)を統合した
報告体系であるべきという発想で、いま、「統合報告」が検討されています。
単に、既存の報告書を1つにまとめただけの ものにしないためには、
会計以外の大きな横串的な考えが必要です。
それが、これまでの報告書には扱われてこなかった2つの領域になります。
・ビジネスモデル
・価値創造
おそらくこの2つをキーワード整理できれば、統合報告が有意義なものになるはずです。
ただしここまでくると、もはや<会計監査>という領域では済まなくなります。
投資家などのステークホルダーが求めているのは財務情報だけではありませんので、
知的資産(非財務資産)への注目は、やはり自然な流れといえます。
※ 知的資産経営については、こちら。
IIRC(国際統合報告審議会)より、この報告書のフレームワークの公開草案が、
ことし2013年4月に示される予定です。
すでに公開されているフレームワークのアウトライン・ドラフトは、こちら(英語版)。
参考:IIRC(国際統合報告審議会)による統合報告の定義
統合報告は、組織が事業を行う商業上、社会上及び環境上のコンテクストを 反映しつつ、組織の戦略、ガバナンス、業績及び見通しに関する重要な情報を まとめ上げるものである。 それにより、組織がスチュワードシップをどのように果たしているか、また、 組織がどのように価値を創造・維持するかに関して、明瞭かつ簡潔に表される こととなる。統合報告書は、組織の主たる報告手段となるべきである。