先日、「中小企業のための会計力講座」と題したセミナーで講師を務めさせていただきました。
その中でも少し紹介させていただきましたが、法人の減価償却は、原則として定率法になります。
このうち平成24年4月1日以後に取得をされる減価償却資産の定率法の償却率が引き下げられます。
今回は、「償却率」の考え方について記載させていただきます。
具体的な計算例は、こちら(所長ブログ)。
国税庁のQ&Aは、こちら(国税庁HP)。
減価償却には、主な償却方法に「定額法」と「定率法」があります。
特段の手続きをしない場合、原則として、個人事業の場合は「定額法」、法人の場合は「定率法」により減価償却計算をします。
(定額法の計算例)
取得価額①1,000の資産を5年償却
→ ②1年目の減価償却費 取得価額1,000÷5年 =1,000×0.200 =200
→ ③2年目の減価償却費 取得価額1,000÷5年 =1,000×0.200 =200
というように、費用にできる減価償却費が定額なので、「定額法」といいますが、
計算途中で「0.200」という数字を使いました。これを「償却率」といいます。
(定率法の計算例/改正前)
取得価額①1,000の資産を5年償却
→ ②1年目の減価償却費 帳簿価額1,000×0.500 =500
→ ③2年目の減価償却費 帳簿価額500×0.500 =250 (帳簿価額は①-②)
というように、一定率を掛け合わせて減価償却費を計算するので「定率法」といい、
計算途中の「0.500」を、「償却率」といいます。
ちなみに「0.500」は、定額法の「0.200」に250%を掛けた(2.5倍した)数値を使いますので
「250%定率法」と呼ばれていました。
今回の改正は、いわゆる「200%定率法」と呼ばれるもので、「0.500」が「0.400」、
つまり定額法の「0.200」に200%を掛けた(2倍した)数値を使います。
(定率法の計算例/改正後)
取得価①1,000の資産を5年償却
→ ②1年目の減価償却費 帳簿価額1,000×0.400 =400
→ ③2年目の減価償却費 帳簿価額600×0.400 =240 (帳簿価額は①-②)
平成24年4月1日以後に取得する場合に適用されるので、
3月決算でなければ、同じ決算期に2通りの減価償却方法が起こりえますが、
これには経過措置が講じられています。
経過措置については、次回のブログでご紹介します。
おはようございます。4月から事業を始めようと思います。当初は年商1200万円ぐらいを目標に考えています。
質問① 主たる経営者は1人、社員は一人です。個人事業主または合同会社の設立どちらがよいかまよって います。どちらにもメリット、デメリットがあると思いますが、どちらが税法上有利かご指導いただけれ ばありがたいです。
質問② また、合同会社にした場合、代表社員1名と社員1名に売り上げが不安定なため,定期的に定額の 給料を支払うことができないと考えられます。そんな場合でも税法上,給与の源泉徴収をしなければなりませんか?
以上よろしくご指導ください。
佐野さま
このたびはコメントいただきありがとうございます。
また、事業開始とのこと、おめでとうございます。以下、ご質問への回答です。
(質問1)
個人の事業所得と、法人の利益なり役員報酬なりとの兼ね合いになりますので一概にはいえません。
過去の「所長ブログ」も、ぜひあわせてご参照ください。
http://kawtax.jp/blog/2011/11/28/886
詳細なシミュレーションは直接ご面談の上、ご提示させていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
(質問2)
まず前提として、法人の役員報酬は「定期同額」であることが求められています。
これは利益操作の排除と、役員報酬が労働サービスの対価ではなく地位の対価であるということと考えられます。
そのうえで、給与の一部未払いの場合、「原則として支払われるまでは源泉徴収は行われない」こととなります。
詳細は国税庁「タックスアンサー」をご参照ください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2526.htm
今後とも、河上康洋税理士事務所をよろしくお願い申し上げます。
26/3/1に中古資産の車を取得しました、200%償却が適用になりますか、旧定率法とは何ですか
植村さま、お問い合わせありがとうございます。
「旧定率法」とは、平成19年3月31日以前に取得した場合の計算方法としてかつて採用されていたものです。これ以降に取得したものの計算を「250%定率法」、さらに平成24年4月1日以後に取得したものの計算を「200%定率法」で行います。
したがって、本年3月に取得した資産は200%定率法での計算によります。なお中古資産であるかどうかは、償却の計算方法でなく、耐用年数で考慮することになります。(国税庁HP)